内容紹介
おまえ自身は、善人か?――“殺人犯の弟”という大きな十字架を背負って生まれてきた裕二(ゆうじ)。人との絆を結ぶことができない彼も、心に愛を灯す存在と出会い、一歩ずつ幸福へと歩みだした。しかし、幼き日に姿を消した兄との愛しい記憶が彼を縛り続ける……。ただ生きることが、こんなにも苦しい……。殺人を犯したかつての少年と、その弟の運命の物語、完結。
レビュー1
5/52017/06/09 ぽんず
人が罪を犯すと、自分はもちろん、その家族の人生も変わってしまうということを、いやというほど思い知らされる内容です。兄のせいで、という怒り、悲しみ、憎しみを抱えながら、それでも憎みきることができない気持ちの葛藤がすごくよく表現されていて、自分の家族を守りたい気持ちと兄への愛情を捨てきれない主人公の苦悩が伝わってきました。