内容紹介
『HER』を超える怪作、誕生。少女の正体は魔性か、凡庸か。「あたしがわるいんです」「値段のついてる『おんなのこ』……あたしとは違ういきもの」手島日波里(てしまひばり)、14歳。同い年の子どもより、肉感的な身体つき。彼女を知れば、男はたいがい性的な感情を抱き、女はたいがい悪意の弾をこめる。彼女に劣情を抱いている男や、片想いをしている少年、劣等感を抱く女、そして彼女をおとしめたい少女が、ひっそりと、かつエゴイスティックに語り出す。彼女にまつわる心理展覧図はどこまでも繁(しげ)るが、真実の正体は誰が知るのか──。
レビュー12
5/52021/10/05 もす粉
何度も読んでいるけど、本当によく考えて作られた作品だと思う。描かれない部分がある事で読み取る余地が広がり、登場人物の全てに役割がある。劇的な展開や救いの為の話じゃなく、読者に沢山の切り口を感じさせ考えさせる話だと思った。 ひばりが「自分は悪くない」と思えた事、ムショーのアイをぼんやり求めていたけど結局殆ど他人に寄りかかろうとしなかった彼女の不器用さが、できれば明るい方へ繋がっていて欲しい
5/52020/09/17 せつな
怖いのに読むのをやめられない。止まらない。でも怖いんです。ホラーじゃなくて人間の本質というか冷たさというかそういう怖さ。読み終わってやっと、やっと息ができるぐらいの深い怖さ。でも、この怖さが嫌いじゃないの。