内容紹介
その少年は、15歳にして悪徳の限りを尽くした。傷つけ、犯し、奪い尽くした……。半年間の失踪を経て、記憶の全てを失ってしまった高校生、斎藤悠介。記憶喪失なりに平穏だった日常は、ある日、突然、破られた。次々に現れる過去を知る者、復讐者たち。覚えのない咎で断罪される瞬間、死肉に突きたてた刃の、幻を見た。━━さて。俺が殺したのは、どこの誰だ? 謎と暴力の記憶喪失サスペンス! 街中に広まった過去の罪が、平穏を蝕んでいく。豹変する住民。暴走する正義。理不尽な迫害。それでも自らの罪と向き合い続けた斎藤悠介。岡崎 菫が語る最後の記録は、一つの問いを残して締めくくられる。“本当の悪魔とは、一体誰だったのか……。” これは、悪魔と呼ばれた男の、罪と罰の物語──。現代をえぐる最先端サスペンス、慟哭の最終巻!
レビュー43
レビューひとつひとつの文字数の多さを見れば、この作品がいかに強く問題を訴えかけていたかよく分かる。 悪魔になった理由が描かれてないのは、多分読者が悪魔時代を少しでも理解できちゃいけないんだと思う。あなたの思う絶対に許せない行為を意思を持って行った極悪人が、今は記憶だけあってそんな意思はない。そんな存在が生きることをどう思いますか?生きていても良いのでしょうかと問う作品。
悪魔と呼ばれる人を悪魔とし非難することが正義でそれが当たり前の世の中だからこそだと思うけど、悪魔と呼ばれる人でも許されるべきだ!という主張のほうが強いように感じた。あとユウスケの中学時代のシーンが少し薄めで、あんまり悪魔感がなかった。読者がもっともっとユウスケに嫌悪感をもった状態で読み進められたら最後のメッセージについてさらに深く考えられたのではと思う。それにしてもめちゃくちゃおもしろかった。